【3分で分かる世界名作文学】不思議の国のアリス

書評

昨日に引き続き、誰もがタイトルは知っているけれど、意外と原作は読んだことがない世界の名作文学を、3分で分かるように紹介します。

 

一昨日の「嵐が丘」、昨日の「ジェーン・エア」とは英国文学という点が共通点の「不思議の国のアリス」です。

続編の「鏡の国のアリス」もありますが、話自体は1作ずつ完結しています。

 

この作品は、もはやモチーフ化しており、各種派生作品の方で見たことがある方も多いのではないかと思いますが、原作を読んだことがある方はどのくらいいるでしょうか。

 

以下ネタバレを含みますので、結末を知りたくない方はご注意ください。

 

「不思議の国のアリス」あらすじ(ネタバレ含む)

 

「不思議の国のアリス」は伏線や前後関係がなく、奇妙な出来事が次から次へと起こる構成です。よって、章順に淡々と描いた方が分かると思うのでそうします。

(Wikipediaより)

 

ある日、アリスが土手の上で姉の横で考え事をしながら座っていると、白ウサギが通りかかった。白ウサギはなんとチョッキを着ていて、「遅刻だぁ!」と人間の言葉を話していた。驚いたアリスは白ウサギを追いかけてウサギ穴に落ちる。着いた場所は広場になっており、そこで金の鍵ととてもアリスには通り抜けられない小さな扉を見つける。そのそばには小さな小瓶があり、それを飲んだアリスは扉が通れるくらいに小さくなる。しかし、鍵をテーブルの上に忘れてしまい、鍵が取れなくなってしまう(第1章 ウサギの穴に落ちて)

 

テーブルの下に不思議なケーキを見つけたアリスはそれを食べたが、今度は身体が大きくなりすぎて広間から出られない。困ったアリスは泣き出して、大量の涙は大きな池を作った。アリスは白ウサギが落としていった扇子を使って再び小さくなるが、自分の作った池にはまり込んだ。そこにはネズミをはじめ、さまざまな鳥や獣が集まってきていた。(第2章 涙の池)

 

アリスと鳥獣たちは党大会レースをして体を乾かした。その後、アリスは飼い猫ダイナの自慢話を始めてしまい、怖がった鳥獣たちはみんな逃げ出してしまった。(第3章 党大会レースと長い尾話)

 

ひとりぼっちになったアリスのところに白ウサギが戻って来る。メイドと勘違いした白ウサギは、アリスを使いに出す。アリスは白ウサギの家で見つけた小瓶を飲んでしまうが、今度は身体が大きくなり過ぎて部屋に詰まってしまう。白ウサギはトカゲのビルを使ってアリスを追い出そうとするが失敗し、小石を投げつける。小石はケーキに変わったため、アリスが一つ食べるとまた身体が小さくなり、家から逃げ出すことができた。(第4章 ウサギのお使い、小さなビル)

 

森の中で青虫にあったアリスは、キノコの一方をかじれば大きく、反対側をかじれば小さくなることを教えてもらう。アリスはキノコをかじる量を調節し、やっと元の大きさに戻る(第5章 青虫が教えてくれたこと)

 

アリスは小さな家を見つけ、その家に入れるサイズになるようキノコをかじる。家は侯爵夫人の家であり、家の前ではカエルと魚の召使がやり取りしていた。家の中には、赤ん坊を抱いた侯爵夫人、やたらとコショウを入れる料理人、チェシャネコがいた。アリスは侯爵夫人から赤ん坊を渡されるが、家の外に出るとブタになって森に逃げて行った。(第6章 ブタとコショウ)

 

チェシャネコに教えられた通り、アリスが三月ウサギの家に来ると、そこでは、三月ウサギと帽子屋、ヤマネが終わることのないお茶会をしていた。好き勝手に振る舞う彼らに我慢ができなくなったアリスはその場を後にする。そこから最初にこの世界に来た時に出た広間に続く道を発見し、今度こそ小さな扉を開ける。(第7章 おかしなお茶会)

(Wikipediaより)

 

通り抜けた先は美しい庭で、手足の生えたトランプのカードが庭の手入れをしていた。そこにハートの王と女王が現れる。癇癪もちの女王は庭師たちに死刑宣告をした後、アリスにクロッケー大会に参加するよう促す。しかし、このクロッケー大会は、ボールはハリネズミ、クラブはフラミンゴ、ゲートはトランプなので大混乱になる。チェシャネコが空中に頭だけ出して現場をさらに混乱させると、アリスはチェシャネコの飼い主である侯爵夫人を呼びに行くことを提案するが、飼い主が来た頃にはチェシャネコの姿は消えていた(第8章 女王陛下のクロッケー場)

 

女王は侯爵夫人を下がらせると大会を続行する。しかし、女王は粗相があるとすぐ「首をはねよ!」というので、30分後には選手もゲートもなくなってしまった。アリスは女王の命令で海ガメもどきの話を聞いてくることになる。海ガメもどきはかつて自分が本当の海ガメだったころに通っていた学校の教育について話す。(第9章 海ガメもどきの話)

 

海ガメもどきは次に、ロブスターの踊りがいかに素晴らしいかを実演つきで熱く語る。そのうち、裁判の始まりを告げるさけび声が聞こえたので、歌い続ける海ガメもどきをおいて、アリスは法廷に連れていかれる(第10章 ロブスターのおどり)

 

法廷では、ハートのジャックが女王のタルトを盗んだ疑いで起訴されていた。アリスは見物するが、その間に自分の体が再び大きくなり始めていることに気づく。裁判は、帽子屋、侯爵夫人の料理人が証人として呼ばれ、続いて3人目の証人としてアリスの名が呼ばれる(第11章 タルトをぬすんだのはだれ?)

 

(Wikipediaより)

アリスは何も知らないと証言する。しかし、裁判は新たに提出された証拠をこじつけてジャックの有罪に結び付けようとしており、アリスは裁判のやり方を批判し、「あなたたちみんな、ただのトランプじゃないの!」と叫ぶ。トランプたちがアリスに飛びかかって来たところで、アリスは目が覚める。アリスは夢で見た冒険を姉に話し、姉がアリスの将来に思いをはせたところで物語は終わる。(第12章 アリスの証言)

 

 

 

 

「不思議の国のアリス」みどころ

 

なんともシュールなストーリー

 

今回、初めて、「不思議の国のアリス」のあらすじをまとめてみましたが、書けば書くほど長くなってまとまらず、なんともとっちらかった話だなぁという印象を新たにしました。

 

次から次へと不思議な現象がアリスに襲い掛かり、でも各出来事に相互関係はなく、最大の盛り上がりの場面で全てが夢オチという、どこぞの打ち切り漫画のような最後で締めくくります。

どこぞの打ち切り漫画家のように、風呂敷広げ過ぎて収集つかなくなったんじゃないだろうかと邪推したくなる終わり方です。

 

正直、「不思議の国のアリス」については、ストーリーそのものには私はあまり魅力を感じません。

ここに来て、上述のあらすじを読んだ方も「なんだこりゃ」くらいにしか思わないと思います。

 

本書の魅力は、後述する強烈な登場人物と、言葉遊びと韻にあります。

 

強烈な印象を残す登場人物

 

「不思議の国のアリス」で有名な登場人物と言えば、主人公を差し置いて、「ハートの女王」「帽子屋」「チェシャネコ」が三大キャラクターなのではないかと思います。

 

ジョニー・デップのマッド・ハッタ―(帽子屋)など、映像化の影響もあって、原作とは少し違ったイメージで一人歩きしているキャラクターも多くいます。

原作では、帽子屋は裁判でおたおたするなど、少し情けないキャラクターになっています。

 

(Wikipediaより)

「チェシャネコ」については原作では登場時間はそんなに長くないのですが、やはり、ビジュアルイメージの強烈さのせいでしょうか。ニヤニヤした口だけ宙に浮いてる画像は簡単にイメージすることができます。

 

そして、なにかと「首をはねよ!」と叫ぶ「ハートの女王」

 

どのキャラも原作での登場時間はそれほど長くないのですが、キャラクター造形、ビジュアルイメージ、もしくはその両方が強烈であるため、物語を知らなくても名前を知っている人は多いと思います。

 

最大の魅力は言葉遊びと韻とリズム

 

「不思議の国のアリス」の真骨頂はなんと言っても全編で繰り広げられる言葉遊びにあります。単語そのものの意味のずれや言い換えなどももちろんですが、作者ルイス・キャロルの最大の特徴は「韻(ライム)」です。作中に何度も出てくる詩は、英語の韻とリズムを踏んでおり、長らく、原書を読まないとアリスの良さは理解できないと言われていた最大の理由がここにあります。

 

この点は後述しますが、日本語でも言葉遊びと韻とリズムを最大限に活かした翻訳が出ており、「不思議の国のアリス」はその一冊があれば事足ります。

 

日本語翻訳は河合祥一郎の角川文庫版がアリス翻訳決定版

 

先述の通り、「不思議の国のアリス」の最大の特徴は、言葉遊びと韻とリズムで、原文で読まなければ良さは分からないと長らく言われていました。

 

しかし、150年以上前の古い英語であることに加え、詩として特殊な書かれ方をした英語は、一般的な日本人には難しく、だとすると並み大抵のことでは原文の良さは分からないことになります。

 

が、2010年に刊行された河合祥一郎版でこの問題は全て解決されました。

キャロルが一番拘った韻を、見事なまでに日本語で韻を踏んだ翻訳を実現しています。

 

あまりに気になったので、英語原文を買って比較してみたのですが(英語が古くて難しいので、完全に理解できたわけではないのですが)、言葉遊び、韻、リズムの全てを日本語で実現すべく、かつ、原作の雰囲気を損なわない程度に適度なアレンジを加えた、素晴らしい翻訳となっています。

 

翻訳者の河合祥一郎氏は、シェイクスピアを専門とする東大の教授ですが、学者先生にありがちな小難しさは一切ありません。

 

アリスを読むなら河合祥一郎版以外はないと断言します。

 

Kindle版だけですが、「鏡の国のアリス」との合本版もあるので、どうせなら続編も読むかなという方はこちらがおススメです。

 

「不思議の国のアリス」まとめ

 

というわけで、「不思議の国のアリス」いかがでしたでしょうか?

 

一番言いたかったことが、「河合祥一郎版が素晴らしい」ということになってしまいましたが、この版を読むと、キャロルが拘った言葉遊びや韻とリズムが分かると思います。

 

是非読んでみてください!

 

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