『聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話』はオリジナルを凌ぐ名作!

今年の正月は漫画しか読んでません。

 

今日はこちら『聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話』です。

 

昔、リアルタイムに(雑誌ではなくコミックで)読んでいたのですが、読み返してあらためてよく出来てるなーと思いました。

 

というわけで、折角なので紹介しておきます。

 

『聖闘士星矢』おさらい

 

この世には邪悪がはびこるとき、必ずや現れるといわれる希望の闘士聖闘士(セイント)。その拳は空を裂き、蹴りは大地を割るという。彼らは神話の時代より女神アテナに仕え、武器を嫌うアテナのために素手で敵と戦い、天空に輝く88の星座を守護としてそれを模した聖衣(クロス)と呼ばれる防具を纏う。

(アニメ版オープニングナレーション)

 

もはや説明不要な気もしますが、念のため。

 

厳しい修行を経てアテナの聖闘士になった少年星矢が、地上の支配権を狙う神々から、アテナの下で同じく聖闘士になった兄弟たち(アニメでは赤の他人)と地上の平和を守るために戦う話です。

 

オリジナルの『聖闘士星矢』は1985年に連載を開始。Wikiによると、プラモデルの要素を取り入れた聖衣が少年読者に、ギリシャ神話や星座をモチーフにしたストーリーが少女読者に受けるだろうという発想で構想が練られたそうで、作者車田正美さんなのか、編集なのか分かりませんが、この商業戦略とその結果としての成功には脱帽です。

 

さらに、この作品についてはアニメ人気も人気の相乗効果を挙げており、この作品の後、『鎧伝サムライトルーパー』『天空戦記シュラト』などといった、いわゆるバトルスーツものが流行ったのは、間違いなくこの作品の影響でしょう。

 

まぁ、マジレスすると、(アニメは)13~15歳の子供の声にしては声が渋すぎるとか、(黄金聖闘士は)20歳にもなってないのに弟子がいるなんて過酷過ぎとか、そもそも、13歳の子供に地球の平和を委ねるなよとか、まぁ、色々あるのですが、そんなこと言ってたら「少年漫画」の存在意義を問うことになってしまうので、そこは流します。

 

『聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話』あらすじ

 

あの日星矢たちの前に立ちはだかった最強最後の敵・ハーデス。ニ百数十年前の前聖戦においても、天馬星座の聖闘士と冥王ハーデスそして女神アテナの間には、因縁のドラマが存在した! 新世代の情熱を得て、聖闘士星矢の新たな世界が幕を開ける!

(Amazon作品紹介より)

 

さて、今回紹介する『聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話』は、オリジナルにも設定上存在した、243年前の前聖戦が舞台です。

 

「聖闘士星矢」の世界では、地上の覇権を手に入れようと目論む冥王ハーデスと、地上を守ろうとするアテナが、200数十年ごとに復活し闘う、その戦いのことを聖戦と呼ぶ、という世界観ですので、オリジナルの一代前のアテナとハーデスの戦いということになります。

 

全滅必至のこんな闘いを200数十年ごとに繰り返していたら、アテナの聖闘士の技はどれ一つ引き継がれていないんじゃないかという疑問が沸き起こりましたが、それはともかく、舞台設定はそんな感じです。

 

この世界でもアテナの側に常にいるのは天馬星座(ペガサス)のテンマであり、この時代のアテナはなんとテンマの幼馴染だったサーシャという少女です。しかし、冥王ハーデスもまた、テンマの幼馴染であり、サーシャの兄であるアーロンでした。今や敵味方に分かれてしまった幼馴染と兄妹の間で繰り広げられる壮絶な聖戦がいかにして終結されるのか、が今回のメインストーリーです。

 

『聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話』みどころ

 

絵が綺麗

 

これは、正直、原作者の車田正美の絵が上手くないので、比べてしまうのは気の毒ですが、オリジナルと比べると絵の美麗さは雲泥の差です。

 

原作の美形キャラは髪の毛のトーンなどがなくなると全員同じ顔に見える上に、顔の表情も5種類くらいしかないように見えます。

 

本作の作画担当 手代木史織(てしろぎ しおり)は、この作品の前はどちらかというと少女漫画を描いており、かつ、それほどパッとした作品はありませんでした。

 

本作前のコミックを見ると、よく作画に採用したなぁと思ってしまうのですが、実際、1巻の絵は若干硬さと粗さが残り、ところどころにごまかしか?と思われるような手法が見られるのですが、最終巻、および、外伝、と後半になるほど、絵の進歩が著しいです。

 

少女漫画的線の細さを残しつつ、少年漫画の迫力を備え、しかも美麗、という、なかなかに得難い画力なんじゃないでしょうか。ここまで描けるのであれば、少年漫画を描いた方がヒットの種はあるような気がします。

 

話がよくまとまっている

 

絵の美しさに目がいってしまいがちですが、私が一番評価しているのは実はこちらの方です。

 

本作は話がハーデスとの聖戦だけに閉じているので、オリジナルのようにいろんなボスキャラが出て来て、露払いを含むボスを片っ端から倒して、という話にはなっていません。

 

登場人物はテンマ、サーシャ、アーロンに加え、前半でテンマと行動を共にするユズリハと耶人以外は、黄金聖闘士全員とめぼしい冥闘士のみと、25巻というボリュームの割に、意外と登場人物の数は少ない気がします。

 

その分、一人ひとりの心情や背景まで掘り下げられていて、特にオリジナルでの人気の高かった黄金聖闘士一人ひとりの闘いに焦点を当てて描く様は、オリジナルの各ファンがうなったのではないでしょうか。

 

また、この話は冒頭から様々に伏線が張られていますが、25巻まで読むと全てが綺麗に収まった形になっています。

 

具体的に言ってしまうとアレなので差し控えますが、アーロンが何をしようとしていたのかとか、テンマの両親の話とか、サーシャの花輪の話などなど、これをここまできてこうまとめるかーと、声に出したくなるほど綺麗にまとまった作品です。ここまで綺麗に伏線回収している作品もなかなかないのではないでしょうか。

 

原作リスペクトが感じられる

 

話は非常に良くまとまっていて、絵も原作以上に上手いのですが、この作品はやはりオリジナルがなければ生まれなかった作品です。

 

作画担当の手代木史織はオリジナルの大ファンで、それをきっかけに漫画家を目指したそうですが、確かに原作リスペクトが非常に感じられます。

 

黄金聖闘士各キャラクターは名前もキャラクターもオリジナルとは全く違う設定なのですが、キャラクターのデザインはオリジナルを意識したものとなっており、設定や使う技も原作を踏襲、もしくは、膨らませたものとなっています。

 

特に、オリジナルでは憎まれ役だった蟹座と魚座は、設定を膨らませ、背景を濃く語ることで、憎まれ役に堕ちたことがなんとなく理解できるような深い設定を自然に加え、他の黄金聖闘士全員を食いかねない深みのある物語を描くことに成功しています。

 

こうした、原作リスペクトの姿勢が、原作ファンにも共感を呼び、外伝・派生作品の中でも異例の大ヒットとなったのではないでしょうか。

 

余談ですが、個人的に面白かったのは、オリジナルでは設定だけあった天醜星(てんしゅうせい)デッドリービートルのスタンドの必殺技「スタンド・バイ・ミー」が真面目に発動されてたのがお気に入りです。原作リスペクトならではのネタの正しい使い方、回収の仕方ですね。どんな技なのかは実際に作品で確認されてください(4巻)。

 

『聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話』まとめ

 

以上、『聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話』いかがでしたでしょうか。

 

原作を読んでいる方がより話が分かって面白いですが、普段、少年漫画を読まない人や、絵が苦手で敬遠していた人にもこの作品はおススメです。

 

この作品、外伝も16巻もあり、黄金聖闘士一人につき一巻になっていて、ファンにはうれしい構成です。

ただ、一巻なので、ボリューム的に話がそれほど膨らまないのが残念。

 

加えて、未収録の短編が2~3編あるはずなので、この辺もいつかコミック化して欲しいです。(コミック派の私はまだ読んでいないので)

よろしくお願いします>秋田書店さん!

 

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