漫画版『うみねこのなく頃に』感想・批判に対する考察

2019年、あけましておめでとうございます。

 

年始早々、今更ですが、「うみねこのなく頃に」の漫画版 Episode 1~8の全50巻を読破しました。量がきつかった。。。

 

読後の感想は、「ひぐらしの方が良かった」と思います。

 

今日は読了ほやほやのうみねこについて、個人的感想に基づき、今更ながらひぐらしに劣る理由を私なりに考察していきます。

 

人物設定・舞台設定・ストーリーが複雑すぎる

 

うみねこでは、殺人事件に関わる主要キャラクターだけでも17~19名と多く、人間関係が複雑で、家系図でもない限り、ぱっと把握することは不可能です。これにわちゃわちゃと魔女が湧いてきて、敵味方を簡単に取り換えたりするので、分かりにくいことこの上ありません。

 

殺人の舞台はクローズドサークル(孤島)なのでその点は分かり易くなっていますが、魔女と戦人の対決ステージや黄金郷、幻想法廷などなど、現実と魔女世界が入り混じった舞台設定が複雑で、そこにまつわるルールも複雑なので、なんだかもう良く分からなくなります。

 

また、Episode4まで探偵役を務め、魔女の存在を否定する側だった戦人が、Episode5-6では探偵役を妨害し、魔女の存在を立証する側に回ったり、Episode8では縁寿から真実を隠そうとする側に回ったりと、主人公の立ち位置だけ書いていてもかなり複雑なことになっています。

 

トリックを追求する場面でも、赤文字や青文字での応酬を経て可能性をつぶしていくわけですが、このやりとりがかなり長く、セリフを読むのがめんどくさいボリュームであるにも関わらず、それでも真相には全くたどり着かない、という点もストレスを感じる原因でしょう。

 

キャラクターの魅力が描き切れてない

 

前述の通り、殺人事件にかかわる主要キャラクターだけでも17~19人おり、登場人物紹介の段階で、ある程度キャラの性格分けを定義しなければならない探偵物では、かなり無理がある人数と言えるでしょう。

 

本編中でも語られるアガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」や「金田一少年の事件簿」といった成功例を引き合いに出すまでもなく、描き分けを明確にして読者を引き込むには、最大10人程度が限界でしょう。

 

また、通常、探偵物では、読者は探偵役に感情移入することになりますが、Episode1からの探偵役と言って良いであろう戦人は、Episode4で雲行きが怪しくなり、Episode5からは探偵役を降りてしまいます

 

Episode5-6で探偵役を務める古戸ヱリカは読者の感情移入先として適切なキャラには設定されておらず、実質的に感情移入できる探偵不在のまま物語は進みます。

 

この点は、後述する意図あってのことだと思われますが、漫画やゲームの人気はキャラへの愛着が支えていることが多いので、キャラの魅力不足と探偵不在はかなり難易度の高い賭けと思われます。

 

そもそもミステリーではない

 

原作者の竜騎士07はこの作品への批判に対し、「本格推理物を読み慣れていない読者が悪い」という趣旨の発言をしたそうですが、私はこの作品はミステリーではないと思います。

 

ミステリーには暗黙の了解となっているルールがあり、本編中に出てくる「ノックスの十戒」「ヴァン・ダインの二十則」もそれに該当します。これらのルールで本編を煮詰めることにより、ことさらにミステリーの観点から書かれているように見せていますが、ミステリーとして見るならば、「赤文字で語られることは全て真実」といった独自の魔女のルールを敷いている時点でかなりのチート、かつ、アンフェアになっており、途中、探偵役がコロコロ変わるところや、主人公が真実を暴かせまいとする流れなどもミステリーとは呼べないでしょう。

 

最も、色文字の設定も、Episode8で出てくる「全員が真実を語る。ただし、犯人だけは嘘をつくことができる」とした紫の発言はありがちなミステリーのひっかけですが、設定としては面白かったです。

 

これは真相究明の話ではないが、その点が十分説明できてない

 

かなり結論に近い話としては、私はこういうことだと解釈してます。

 

これは少しずつ明かされていくルールを理解し、そのルールに則って真相を究明するというより、一番良いと思われる未来を勝ち取っていく話だと理解しました。

 

よって、ルールが明かされないEpisode1の段階では、読者(と戦人)はかなりアンフェアな条件で推理をしなければならないわけですが、ひぐらしでも同じような展開は採用されており、むしろアンフェアを楽しみ、ルールが明かされていくのを楽しむための作品だと言えるでしょう(それが好きかどうかはともかく)

 

また、Episode5-6では戦人が探偵が真実を暴くのを妨害する立場になったことで、この物語が真相を追求する話ではなくなったことを物語っており、Episode8では、戦人が真相を隠そうとし、真実が知りたいと言った縁寿が真相から目をつむり、自分が信じたい犯人説の証拠を求めて、「絵羽犯人説」に誘導しようとする様は、まさにアンフェアであり、読者としても肩透かしを食らった気分になります。

 

この場合、戦人の考える理想的な未来は「殺人などなく、みんな仲良くしていたけれど事故で死んでしまった」と縁寿に信じさせることであり、縁寿にとっては「自分がずっと憎んできた絵羽がやっぱり犯人だった」というシナリオです。

 

とまぁ、この辺の意図は理解できるのですが、問題はそこに至った背景が全く描かれていないことにあるでしょう。

 

先述の通り、Episode1-4で一貫して真相を追求してきた戦人が、Episode5-6では急に古戸ヱリカを邪魔する側に回っています。

 

これは「戦人がベアトリーチェのゲームの目的を理解したから」ということが語られていますが、その時点では読者にはその目的が語られていないので、この突然の方針転換についていけず、また、主人公という感情移入先を失い、読者としても困るところです。

 

突然いたぶり役の探偵役が出て来て、本編とは関係ない(ように見える)話が進み、Episode5-6いらんと思った読者も多いことでしょう。

 

また、同様の経緯が語られていないため、Episode8で「殺人などなかった」ゲームを縁寿に見せる戦人の心変わりぶりも理解しにくいところです。

 

そのような具合で、ルール、エピソード共に説明不足の状態で話が進み、Episode8でなんとか話はつながるものの、後出しじゃんけんの印象はぬぐえません。

 

作者は、こういった意図を読者に理解させられなかったわけですが、「この作品を理解できないのは、読者の受け取り方が悪い」という主旨の発言をしたそうで、相当に批判されたそうです。

まぁ、元が同人ゲームなので、商業誌の感覚で考えてはいけないのかも知れません。

 

『うみねこのなく頃に』まとめ

 

まとめると、発想とストーリーは面白いが、演出で大失敗している作品、ということでしょうか。

 

というより、漫画読後の印象としては、小説・漫画、アニメ、ゲーム、どれでやっても、作者の意図した通りに世界観を再現するのは難しい感じがします。じゃぁ、何なら良いのか、という案も今のところありません。

 

そういった意味では、意外と時代を先取りした作品なのかも知れません。

 

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました