コソボというと、どういうイメージをお持ちでしょうか?
私の周りでは、「コソボに旅行に行く」と言うと、「え?紛争大丈夫なの?」と言われました。
紛争が起こっていたのは1990年代の話で、1999年には終結し、2008年には独立を宣言しているため、もう20年も前の話になります。行ってみると分かりますが、独立から10年を経て、少なくとも観光客の見た目には内戦の爪痕は言われなければ分からない程度には復旧しています。
一方で、私の友人の反応を見ても分かるように、日本では未だに紛争当時のイメージが色濃く残っているのは間違いありません。
この辺りの複雑さについては、また別の機会に振れるとして、今日はコソボを旅行する際におススメの場所4か所を紹介します。
グラチャニツァ修道院(コソボの中世建造物群)

グラチャニツァ修道院はビザンツ様式の美しい教会
コソボの首都プリシュティナから10Km、バスで30分ほどで行ける、セルビアの飛び地と呼ばれるセルビア人村にあるセルビア正教会です。アルバニア人が多数を占めるようになったコソボにあって、言葉も宗教も違い、ここだけ本当に違う国のようです。
中には聖書などをモチーフにしたフレスコ画がかなり良い保存状態で残っています。
なお、この修道院を含む、セルビア正教会の4つの教会、修道院が、コソボの中世建造物群として世界遺産登録されていますが、2006年から世界危機遺産にも登録されています。
(日本語版がないので)

ペヤの町とペーチ(ペヤ)総主教修道院(コソボの中世建造物群)
ペーチ(ペヤ)総主教修道院(コソボの中世建造物群)
プリシュティナからバスで2時間ほど行ったところにある小さな町ペヤ、その中心部から2kmほど行った渓谷に佇む真っ赤な修道院です。(ペヤはアルバニア語、ペーチはセルビア語です)

ペーチ総主教修道院は、私にとってコソボの中で最も忘れられない場所
ここには、修道院の入り口にKFOR(Kosovo Force、コソボ治安維持部隊)の小さな小屋があり、パスポートの提示を求められます。忘れずに持って行きましょう。
修道院の中は3つの教会がつながってできており、いずれも美しいフレスコ画が残っています。
教会は通常鍵がかかっていて中に入れませんが、パスポートを提示したとき、KFORのおじさんが修道院に連絡をして、着くころには誰かが待っていて鍵を開けてくれます。
私はこのときにお会いした修道女の方が、かなり年配だったんですが、丁寧に説明してくれ、私が放心してずっと眺めていても嫌な顔せずに待っていてくれたのが非常に印象に残っています。

ペーチ総主教修道院はこんな美しい渓谷の入口にある
修道院はルゴヴァ渓谷の入り口にあり、非常に美しい場所にあります。私はこの雰囲気と建物と景色の美しさが気に入り、修道女の親切が身に染みて、2日連続で訪問してしまいました。
次にコソボに行くときもぜひまた行きたい場所です。
(英語版の方が説明と写真が充実しているので)

ペヤの町
ペヤの町自体はこじんまりしていて、見どころをまわるのに1日もかかりません。
ここの見どころは、モスクやハマムなど色々ありますが、他にはないものとして、なんと言ってもバザール。オスマン帝国時代の街並みが残っています。どことなく、日本の古い町並みにも似てる気がするのは私だけでしょうか?

どことなく日本の古い町並みにも似てる気がするペヤのバザール
デチャニ修道院(コソボの中世建造物群)

デチャニ修道院は今もKFORに固く守られた山奥にある
ペヤからバスで30分ほど行った小さな町デチャニから、更に30分ほど高台を上がったところにあります。
ここも見どころは1000点を超えるフレスコ画とイコノスタスですが、大理石を組み合わせて作られた建物自体も非常に美しいです。

デチャニ修道院に向かう途中にあるKFORによるバリケード
デチャニ修道院は2007年に手榴弾が投げ込まれたことがあり、4つの修道院の中では、KFORによって一番厳しく警戒されている修道院です。デチャニのバス停から修道院に向かう途中、KFORのバリケードがあり、修道院の入口には武装兵によるパスポートチェックがあります。道中は戦車が無造作に置かれていて、ちょっとびっくりします。

プリズレンの町とリェヴィシャの生神女協会(コソボの中世建造物群)
プリズレンはプリシュティナからバスで1時間半、ペヤからは同じく2時間ほど行ったところにあります。
リェヴィシャの生神女協会(コソボの中世建造物群)

レヴィシケ生神女協会は外からしか見学できない
ここにも世界遺産の一つレヴィシケ生神女協会がありますが、この教会は残念ながら、外観しか見ることが出来ません。2004年のコソボ暴動の最中に焼き討ちにあって、現在は鍵がかかっています。
聖ゲオルゲ教会の聖職者から鍵を借りることが出来るという話も聞いていますが、私が行ったときは、聖ゲオルゲ教会自体も閉まっており、どちらも入れませんでした。

プリズレンの町

プリズレンの町はモスクを中心に建てられている
プリズレンの町自体はこじんまりとしていて、主な見どころをまわるのに1日もいりません。
スィナン・パジャ・ジャミーアという大きなモスクや、ガーズィ・メフメット・パシャ・ハマムというハマムが有名です。
町の南東には城塞があり、ここからは町全体や後ろ側の渓谷が見え、気持ちが良いです。
コソボ旅行で行くべき場所 まとめ
コソボ旅行で行くべき場所4選、いかがでしたでしょうか?
ご覧の通り、紛争を想起させるものは、少なくとも観光客の目につく範囲では分かりません。
私はコソボに行ってみて、逆にセルビアについて知りたくなり、様々な本を読み漁り、3年かけて旧ユーゴスラビア圏を全て回りました。
旧ユーゴスラビア圏の他の国々のおススメ旅行先についてはおいおい、次回はコソボ旅行のおススメルートをご案内したいと思います。
今日の1冊(2冊ですが。。。)
コソボ、セルビア辺りを旅行する前に読んでおくと、コソボ紛争の背景や、その後何が起こったかが分かりおススメです。


コメント
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