別記事でもご案内した通り、コソボが紛争地帯だったのは20年近くも前の話です。今では安全に旅行ができるくらいに治安も社会も回復しています。
とは言え、そんな国だからこそ、旅行に行く際には注意すべきこともあります。
今日はコソボを旅行する上での注意事項をまとめました。
コソボってこんな国
のっけからなんですが、まず注意頂きたいのは、コソボを独立国として認めている国は国連加盟193ヵ国中116国(2018年2月時点)と一部の国に限られています。
日本政府も独立国として承認していますので、この記事では一旦国として記載しますが、そう認識してはいない国もあるという点にご注意下さい。
独立国云々の背景は旧ユーゴスラビア連邦の解体から続く1990年代のコソボ紛争です。紛争の詳しい話はWikipediaや専門書に譲りますが、コソボは紛争を経て、旧ユーゴスラビア連邦の中でも最も遅く、2008年に独立を宣言したヨーロッパでもっとも若い国です。
一方で、元々一つの国だったセルビアはもちろん、自国内に民族問題を抱えるスペインやギリシャ、ロシア、中国、インドなどの85ヵ国は独立国として認めておらず、セルビアの一部とみなしています。
ユーゴスラビア解体時に各国で起こった紛争と、それにに端を発した民族浄化の思想背景、現地で実際に何が起こっていたかについては、この辺りの本に詳しいので、行く前に一読されることをおススメします。今でこそ平和に見えるコソボも本質的には何も解決されていないことが分かります。
また、ユーゴスラビア解体後の紛争時は、セルビアの少数派であるアルバニア人を迫害しているという構図が出来上がり、世界的にもセルビア悪玉論が吹き荒れ、非難が集まりました。しかし、これも現在ではアメリカの広告会社のイメージ戦略だったことが分かっています。
この背景はこの本が詳しいです。アメリカの証券会社には「遠くの戦争は買い」という言葉があるそうですが、国際世論を動かし、イメージを作り上げることで、戦争の結果さえも決めることが出来るという、現代の情報戦の恐ろしさが分かります。

コソボでは独立時の経緯もあって、ビル・クリントン元米国大統領が人気で至る所に銅像や写真がある
重たい話になってしまいましたが、そのような背景があり、迫害を恐れたセルビア人が多く脱出したこともあり、コソボの大多数を占めるのはアルバニア人となっています。アルバニア人の言語はアルバニア語、宗教はイスラム教です。わずかに残るセルビア人はセルビア語とセルビア正教です。
通貨はユーロが使えるので旅行者にとっては便利。ただし、正式な加盟国ではないので、国独自のデザインが施された通貨はありません。
交通手段はバスが便利
旧ユーゴ圏の国々の例にもれず、コソボの移動は、便数の点からも時間の観点からもバスが便利です。
コソボのおススメの観光地と、バスを使った行き方については別記事に記載してますので、そちらも参考にしてください。

ペヤのバスターミナル。バスはほとんどが大型バスだが、たまにミニバスもある。行先が表示されているので分かりやすい
鉄道の国内線は、プリシュティナとペヤを結ぶ線が1日2便あるとのことですが、バスよりも時間がかかり、本数も少ないので、私は使いませんでした。
なお、飛行機の国内線はありません。
コソボから周辺国に移動する際の注意事項
コソボは小さな国ですので、コソボだけを見て旅行される方は少数派で、大多数の人は、その後、隣国に出ることになると思います。
その際、コソボからセルビアへの入国だけはご注意下さい。
コソボから先に入ってしまった場合、セルビアに直接入ることは出来ません。セルビアはコソボを独立国として認めておらず、セルビアの一部とみなしています。そのため、コソボに先に入ってしまうと、セルビア(の一部であるコソボ)に入国しているにも関わらず、セルビアの入国スタンプがない=不法入国である、という理屈でセルビア入国が出来なくなります。
コソボからセルビアに入国するには、以下のパターンがあります。
- セルビア → コソボ → セルビア
- コソボ → 第3国 → セルビア
セルビアに先に入ってそこから往復するか、第3国を経由して入るかすれば良いということですね。第3国を経由してもコソボに先に行ってることには変わりないのですが、このやり方で入れなかったという話は聞いていません。
コソボからセルビア以外の国境についてはバスでも問題なく超えられます。
私はコソボの後、プリズレンからマケドニアのスコピエに行きました。
このときの国境の検問所では、係員がパスポートを回収に来てスタンプを押して返してくれます。係員がパスポートを回収する際、一応、パスポートの写真と本人を目視で確認しています。これが、コソボ側とマケドニア側で1回ずつありましたので、合計2回あります。2016年4月時点に私が行った際は、出国スタンプ、入国スタンプ共に押してくれましたが、押してくれないこともあるようです。この基準はよく分かりません。私が行ったときは、検問所はそれほど混んではいませんでしたが、かなり待たされることもあるようですので、時間は読めないものと思った方が良さそうです。
バスで国境越えする際の対応は、状況が変わっている可能性、国によって異なる可能性がありますので、現地で情報を集めて下さい。
国が違いますが、クロアチアからボスニア・ヘルツェゴビナに入国した際は、検問所で並んでスタンプを押してもらう必要がありました。そんな国もありますので、分からなければ係員さんに聞きましょう。
なお、鉄道では、国際線ではマケドニアのスコピエとプリシュティナ間の便が1日1便あるとの話です。
が、各国の国境までしかチケットが買えず、国境でチケットを買いなおす必要があるという話を聞いて、めんどくさくなって止めました。
コソボはバルカン風ハンバーグとヨーグルトドリンクが美味しい
コソボの料理はトルコ料理の影響を受け、肉が多いです。元々一つの国だったことを考えれば当たり前ですが、セルビア料理との共通点や、アルバニア人が多いことからアルバニア料理との共通点も多いです。
屋台でも売ってる、バルカン風ハンバーグ プレスカヴィッツァは、ファストフードのはずなんですが、その割に量はがっつり。パンにはさんで食べる人もいます。
コソボの料理はヨーロッパは大体どこでもそうですが、全体的に肉が多く、意識して野菜をとらないと、ビタミン不足になりそうです。

プリズレンの老舗テ・スラのプレスカヴィッツァ。塩気がちょうど良くて美味しい。奥は後述のヨーグルトドリンク アイラン
アルコール類は果実を使ったラキアをよく見ますが、アルコールが強く、匂いもツンとくる匂いで、私は苦手でした。
アイランという、ヨーグルトに塩を加えた飲み物が、肉のこってり感を打ち消してくれる作用があり、私はこれが気に入って、こればかり飲んでました。甘くないサラッとしたヨーグルトドリンクです。
現地の人もアイランはよく飲むようで、あちこちで飲んでいる人を見かけました。是非一度飲んでみてください。
コソボ旅行で注意すべきこと まとめ
コソボ旅行で注意すべき点を移動手段と食事について説明してみました。
いかがでしたでしょうか?
コソボのおススメ観光地、都市間の移動手段などもまとめていますので、そちらも参考にしてください。
なお、私はコソボには6日ほどいましたが、現地で日本人には一人も会わず、アジア人もシンガポール系インド人一人だけにしか会いませんでした。
まだまだ旅行先としては馴染みのない国なのかも知れません。
そんな国だからこそ、他の観光客が来る前に是非行ってみてください!


コメント
[…] コソボから隣国へ抜ける際の交通手段と国境越えの注意事項はこちらにまとめましたので、参考にしてください。 […]
[…] この辺りの複雑さについては、また別の機会に振れるとして、今日はコソボを旅行する際におススメの場所4か所を紹介します。 […]
[…] コソボ旅行で注意すべきこと別記事でもご案内した通り、コソボが紛争地帯だったのは20年近くも前の話です。今では安全に旅行ができるくらいに治安も社会も回復しています。 とは言 […]
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[…] があるので省略します。気になる方はコソボの食事についての記事を参照ください。 […]
[…] に詳しく書いていますので、省略します。気になる方はコソボの食事についての記事を参照ください。 […]