マケドニア旅行最終日の今日はスコピエを歩き回ります。
オフリドに続き、この日も徹底的に歩き回っており、歩数で30,660歩、距離にして20.2kmです。仮に時速4kmだとすると、5時間は歩いてるということになるので、よく歩いたもんだと思います。
スコピエ市内観光
まずはヴァルダル川周辺をぐるっと散歩。この辺は夜のライトアップが美しいですが、歴史ある建物が並んでおり、昼間見ても景色として美しいです。
この辺に並んでいるのは、博物館・劇場が多いのですが、なぜか外務省がその並びに紛れており、良い景観の中で仕事が出来て、外務省勤務の人は嬉しいかも知れません。
カメン・モスト(Stone Bridge)
近くには、カメン・モスト、英名Stone Bridgeと訳される、Bridgestoneの由来のような名前の橋もあり、観光名所になっています。
石橋さんはともかく、橋ってだいたいが石で出来てるんじゃないのか?という疑問が頭をよぎりましたが、真面目な話をすると、この橋は15世紀に作られた歴史的価値が高い物で、美しいアーチが特徴だそうです。
Stone Bridgeのすぐ南側にはマケドニア広場があり、真ん中にはアレクサンダー大王の石像があります。
この一角にはマリオットホテルがあるのですが、私が行った2016年4月当時はだいぶ建物は出来ていたものの、まだ開業していませんでした。白亜の美しい建物で、良い場所にあるので気になっていましたが、シーズンオフの12月で1泊12000円程度からとお値段の方もスコピエトップクラスです。
マザーテレサ記念館
マケドニア広場からマケドニア通りという、くどい響きの通りをまっすぐ行くと、マザーテレサ記念館があります。
マザーテレサは元々(オスマン帝国支配時代の)スコピエの出身で、18歳までスコピエで育ったそうです。そんな彼女を称えて2009年に出来た記念館がここです。
マザーテレサについては、賛否色々あるようで、宗教に関することで個人的な意見はブログには書かないと決めているので、私の意見は書きませんが、一つ言えるのは、どんな人の行動も政治的に利用しようとすると、もしくは、政治的な解釈を踏まえて深読みすると、どんな人の行動も色々言われるようになってしまう、ということでしょうか。
なお、この記念館自体は、本人の出征証明書や写真、身の回りの品が展示されていますが、マケドニアの民家を再現した内部はマケドニアの民俗を見るための博物館としても楽しむことができます。
あと、隣に「St. Constantine and Elena Church」という独特の形と色使いをした教会があり、他で見ない形と色使いなので、ついでに見るのがおススメです。
形がモスクっぽいのにChurchという名前になっていて、キリスト教とイスラム教の融合のような形になっています。私が行ったときは、工事中(というより建設中?)で中には入れませんでした。
オールド・バザール
次はオールド・バザールとその周辺を見たいということで、来た道を戻り、Stone Bridgeを渡ってまっすぐ行き、Goce Delchev Boulevardを越えて、オールド・バザールに行きます。
ここは、本来、土産物屋と飲食店が所狭しと軒を並べるところなのですが、私が行った時間が早すぎたのか(と言っても、11:50頃でもうお昼近かったのですが)、開いてる店は少数派で、期待していた以上に閑散としていました。
同じオスマン朝時代のバザールの雰囲気を味わいたいのであれば、コソボのペヤのバザールの方が、規模は小さいですが、雰囲気はあると個人的には思います。
ここも、もしかしたら、夜になったら本気出す場所なのかも知れません。
とはいえ、オールド・バザール自体が地味でも、周辺には見どころがいくつかあります。
聖スパス教会
まず、聖スパス教会。ここは外見のパッと見は地味ですが、内部の装飾が素晴らしく、特にイコノスタスの木彫りは本当に細かく繊細な彫りが施され、浮彫で絡み合う蔦や葉の精緻さは見事な職人芸です。
なお、教会は鍵がかかっていて、受付でお願いして鍵を開けてもらう必要があります。
ムスタファ・パシナ・ジャミーヤ
続いて、ムスタファ・パシナ・ジャミーヤ。名前の通り、オスマン朝時代に建てられたモスクですが、世界一美しいモスクと言われるイスタンブールのブルーモスク(正式名称はスルタンアフメト・モスク)に通じる造形美を感じるのは私だけでしょうか。
まぁ、単に屋根の色が似てる、という超シンプルな理由かもしれません。
ブルーモスクとはあまりに規模が違い過ぎるので、本来は比較の対象にはならないのですが、白亜の壁に青い屋根のコントラストと、シンプルながら力強いフォルムが美しいと思います。
城塞
なお、この近くには城塞もあります。中には11世紀の城塞跡もあるそうですが、私が行ったときは修復工事のため入場不可になっていました。
というか、旅行中に知り合った人に聞いた話では、少なくともその時点で2年前からずっと入場禁止になっているそうで、このまま閉鎖するんじゃない?とのことでした。
一応、最新のGoogle Mapのコメントを見ていると、2018年12月現在、入れるようになっているようですが、「眺めはいいけどそれだけ」「中に見るものはない」というコメントが目立つようです。
まぁ、自分の目で見て判断したいので、ボロクソに書かれていても、たぶん次回行ったときに開いてたらまた行きますけどね。
マケドニア博物館
あと、この近くにはマケドニア博物館があります。
マケドニア各地の民族衣装や伝統家屋を再現した民族学の展示としてはマケドニア随一の博物館で、私も行きたかったのですが、行けませんでした。
というのも、外から見ると建物が真っ暗で、とてもやっているとは思えず、正面玄関と思われる箇所から入ろうとしても鍵がかかっていたためです。
私が行ったのは日曜日で、一応、営業時間は17時までと確認していたのですが、今のGoogle Map上では日曜は13時までになっているので、もしかしたら当時からこの時間だったのかも知れません。
なお、Google Map上で見える写真だと、展示品の下に敷かれている布がどピンクで、この類稀なセンスが非常に気になります。
そんな感じでオールド・バザールは色々見ながら2時間くらい散策していたのですが、オープンする店の数が一向に増えなかったのが気になります。8月しか開かないのかも知れません。
マケドニア風プリン
目ぼしいカフェやレストランがないので(あってもオープンしてないので)、一度ホテル周辺に戻り、一休みします。
写真はこの地方特有のカスタードプリン。くそ甘いかと思いきや、意外と食べられました。デザートは他にも見るからに甘そうなものがたくさんありましたので、機会があれば試してみると良いのではないかと思います。
ショッピングモール
ホテル近くには巨大ショッピングモールもあるので散策します。
あまりの暗さと閑散さ加減に、今日は休みかとビビりますが、やっていました。写真からは、どこかの廃墟と言われても信じてしまいそうな雰囲気だと思います。今日は日曜日です。
ローカルスーパー
さて、私の個人的な旅行の楽しみの一つが、ローカルのスーパーを回ることです。
大体が、現地の生鮮食品の値段に(高いか安いかのどちらかの理由で)驚いたり、使い道の分からない面白いものを見つけたり、日本に帰ってからも食べられそうなインスタント食品を買ったり、何かの食材が足りなくて結局無駄にしたり、と、現地ならではの楽しみがあるわけですが。
やっぱり見つけました、変なモノ。
昆布茶なのか、紅茶なのか、キノコなのか、そしてなぜ日本語なのか、はっきりして欲しいです。
聖クリメント大聖堂
スーパーを堪能した後は、中心街からは少し離れた聖クリメント大聖堂に向かいます。英名は「St Clement of Ohrid」と文字通りオフリドの聖クリメント教会と同じ人を祀っている教会です。
オフリドと同じようにフレスコ画がすごいのかと思いましたが、全然違いました。
まぁ、同じ名前だから同じ構造ということはまずないので、これは私の思い込みだったのですが、そもそもこの教会は1990年建設と非常に新しい教会で、形も非常にユニークです。
写真の通り外観も他にはない形をしていますが、内部も広々と、そしてこちらも他にはない空間の使い方をしており、あと、特に正面のイコノスタスは、描かれているのはキリストの生涯ながらも、他では見たことない形をしています。
さしずめ現代教会美術といったところでしょうか。教会にしてはかなり斬新なデザインだと思います。
ヴァルダル川沿いの公園
さて、フライトは今日の夜なのですが、まだ時間があるので、ヴァルダル川沿いを散歩してみることにします。
政府官庁の建物の北辺りから、ヴァルダル川沿いにかなり広い公園(Parc de la Francophonie)が広がっており、さらに行くとスタジアムもあります。
日曜の午後という時間も良かったのかも知れませんが、のんびりと散歩をする家族連れ、昼寝をするおじさん、ジョギングやサイクリングをする若者などなど、心温まる市民の憩いの場となっていました。
スタジアムではサッカーの試合をやっていたらしく、周辺の盛り上がり方がもはや殺気立っているレベルだったので、近寄るのは止めておきましたが、サッカー好きなら行ってみたら面白かったかも知れません。
ホテルから空港へタクシーで
そのままホテルに戻り、ホテルに手配を依頼していた空港へのタクシーに乗って空港へ向かいました。
スコピエは空港・市内の交通手段がバスかタクシーの2択ですが、私が行きたかった時間に会うバスが無かったので、タクシーにしました。
ちなみにホテルが手配してくれたのはここ↓ですが、「ホテル経由だと手数料がかかるから、次回は直接連絡して」とパンフレットをくれました。
パンフレットによると、空港までは18 EUROですが、私が払ったのは25 EUROなので、7 EUROの手数料が取られていることになります。
確かに手数料が大きいので、次回は直接連絡しようと思いました。
Webによると、18 EUROという料金は変わっていないようです。
なお、運転手さんは英語も話し、態度もきちんとしていて好印象でした。
同じようにスコピエから空港への足にお困りの方のためにサイトを載せておきます。
マケドニア旅行を振り返って
観光客的にはオフリドあってのマケドニア
正直、マケドニアは観光資源に乏しい国だと思います。
そんな中で、世界遺産にも登録され、世界的な知名度もあるオフリドは、マケドニアにとっての唯一の優良観光資源だと思います。
音楽祭を始めたのは割と最近のことのようですが、変な観光客が増えると魅力が落ちることに加え、オフリドの魅力は少し田舎臭いところにもありますので、その良さを生かしつつ、良質な観光客をなるべく長期間呼べるかどうかがこれからの課題かなという気がします。
なお、オフリドから1時間半で行けるビトラは、ローマ時代のヘラクレヤ遺跡があり、発掘されているのは全体の10%のみという広大な遺跡なので、ここも本来は観光名所になる素質のある場所だと思います。
私も次回は是非行ってみたいです。
By Revizionist, CC BY-SA 3.0, Link
国としてはこれから
Wikipediaによれば、マケドニアはユーゴスラビア時代は低開発地域として連邦から開発資金の恩恵を受けていたものの、解体により援助がなくなったことに加え、ユーゴスラビアという市場を失ったことで、経済が大きく落ち込んだそうです。
独立時の周辺国は、北のセルビアは国際的な制裁下にあり、西のアルバニアは鎖国政策によるヨーロッパの最貧国であり、東のブルガリアは冷戦崩壊による経済混乱の中、唯一、体制を保っていた南のギリシャは、マケドニアに対しては呼称問題を理由に経済制裁を課し、と、経済はガタガタの状況に陥ったそうです。
周辺国の状況が落ち着き、ギリシャとの関係が改善されたとは言え、経済は上向いたとは言えず、失業率はまだまだ高く、2017年の国民一人当たりGDPは5,443 USDです。
最も、旧ユーゴスラビアの国では、スロヴェニアの23,597 USD、クロアチアの13,295 USDを除けば、他の国々は4,000~6,000 USD程度であり、大差ないと言えば大差ありません。
今回の旅行中、スコピエの空港でイスタンブール行きの便を待っているとき、オフリド出身という男性に声をかけられました。
話を聞くと、彼はオフリド出身だが大学はドイツで出てドイツで勤めており、これから出張でインドネシアに行くところだと言います。アジア人が珍しかったので声をかけてくれたようで、折角なのでインドネシアのおススメレストランをいくつか教えてあげました。
彼はITエンジニアとして働いており、そんな仕事はオフリドにはなく、スコピエにはないことはないが、ドイツで働く方が需要的にも金銭的にもよっぽど良いとのことでした。
彼の話からは、マケドニア人としての誇りは感じられるものの、経済としてはまだまだ弱く、ドイツの国民一人当たりGDPが44,470 USDと8倍の差があることを考えれば、チャンスがあればドイツで働きたいと考えるのは当然のことなのでしょう。
実はオフリドで会ったオーストラリアに住むマケドニア人からも同じことを聞いており、マケドニアに対する愛着と誇りは持ちつつ、経済的な理由から、チャンスと能力があれば海外で働くというのは彼らの感覚からすると当然のようです。
最も、8倍の給料をもらっているという時点で彼らは勝ち組かと思いますが、そんな彼らが国に戻って来て新たなビジネスを立ち上げようという好循環を生むような環境にでもならない限り、マケドニアはこれからもEU内での人材流出国になってしまいそうです。
次回は絶対ローマ遺跡巡りをする!
表題については今のところただの意思表示ですが、そうしたいと思っています。
ただヘラクレヤ遺跡は、冬季はモザイクは保護のために砂をかけて見えない状態になっているらしく、「冬季」っていつからいつまでやねんってのが気になります。
まぁ、それも調べた上で企画することになります。
というわけで、マケドニアには間違いなく遠くない未来に再訪することになるでしょう!
※実際の旅行日は2016年4月です。記載した内容は、特に断りがない限り、全て旅行日の見聞に基づきます



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