【3分で分かる名作漫画】シルクロードシリーズ(神坂智子)

マンガ

久々の古典漫画紹介、今日は神坂智子の「シルクロードシリーズ」です。

 

この作品は、初めて読んだときの衝撃が忘れられません。度肝を抜かれた作品です。

行ったこともない、見たこともないシルクロードという世界に郷愁さえ感じさせ、その後の私のシルクロードへのあこがれのベースを作ったと言っても過言ではない作品です。

 

早速見ていきましょう。

いつもの通り、以下、ネタバレ、結末を含みますのでご注意ください。

 

「シルクロードシリーズ」作品構成

 

「シルクロードシリーズ」は、文字通り、かつてシルクロードがあったとされる地帯に伝わる伝承をベースに、ときに忠実に、ときにアレンジを加えて、ときに完全オリジナルに創作された、短編オムニバス集です。

 

全編に共通しているのは、メインの舞台となる現在の中央アジア地域で、テングリ(神)と呼ばれる10人(話によっては9人)が、主役、狂言回し、見守る役などなどの様々な立ち位置で出てくることで、それ以外は「ゾマシリーズ」を除けば続き物はおろか、同じ登場人物が出てくることもほぼありません。

 

内容は、悲劇あり、ハッピーエンドあり、時代も過去・現代・近未来と様々ですが、基本的には、神と自然の恵みに感謝して生きていく、シルクロードの名もない人々の生き様を描いた話です。

 

「シルクロードシリーズ」あらすじ

 

「シルクロードシリーズ」は上述の通り、オムニバス形式、しかも、ほぼ全編が全くつながりのない読み切りで構成されている漫画なので、これを全てあらすじ紹介するのは無理です。

 

現在、発売されているKindle版「シルクロードシリーズ」は、見たところ、雑誌発表順に並んでいるようなので、1巻の第一話「はるかなるシルクロード」だけ解説します。

 

 

大学生 橘は、ある日、道に迷い、異常なまでに閉鎖的な村に迷い込む。村には、電話も郵便局もなく、村人はよそ者が来ることを好まない。

 

おシラ様と呼ばれる詩織という村の少女は、日本人であるにも関わらず、金髪に碧の目、そして、触れただけでケガを治してしまったり、人を浮かせるなどの不思議な力を持つ。

 

村人に追われ、村を逃げ出した橘と詩織は、シルクロードの天山山脈へ旅立つ。砂嵐に巻き込まれ、詩織ともはぐれ、氷点下の砂漠で死を覚悟する橘。

 

そのころ詩織は自分と同じ金髪に碧の目をした9人と出会っていた。詩織は9人と同じ部族の10人目の末裔で、彼らの長となるべき人物だった。彼らは天山山脈の民には神(テングリ)と呼ばれ、10人揃って本来の力を発揮することができるため、9人はずっと詩織が来るのを待っていたのだった。

 

翌朝、奇跡的に砂漠で目覚めた橘を、鈴を持った詩織が砂漠の外まで導く。橘は詩織が仲間に会えたことを知る。

 

「シルクロードシリーズ」みどころ

 

一話完結でよくまとまった話と少しずつ明かされている謎

 

前述の通り、「シルクロードシリーズ」は一話完結の読み切り集なので、各話だけでも十分楽しめます

毎回思うのですが、昔の漫画家さんで息長く活躍している人は、話をまとめる力がすごいと思います。

 

一方、あらすじでも紹介した10人のテングリは一体どこから来たのか、何者なのかという謎は、2巻の「バルマンの鉄柱」に、「バルマンの鉄柱」で子供たちと一緒にカプセルに入りこんだ大人たちの末路は2巻「ゾマの祭り」や3巻「ペキネンシス50万年」に、元々10人だったテングリがなぜ9人になったのかは1巻の「キャラバンの鈴」に、10人目がなぜ日本に世代を超えていたのかは「天のはごろも」に、と言った具合で、関係する話が全く別の読み切りとして描かれ、物語の根幹である10人のテングリの謎が少しずつ明かされていきます。

 

この辺の構成は非常に上手く出来ていて、全巻読み終わると全ての話がつながります

 

シルクロードへの郷愁を誘う

 

この作品の最大の魅力はやはりなんといってもこの一言に尽きます。

 

舞台は中国西部が多いものの、シルクロードあちこちの都市を舞台に、厳しい環境下でたくましく生きる人々の物語がメインです。

 

作品に引き込まれ、余韻に浸りながら、きっとこの後もこういう風に生きたんだろうなーと妄想するだけで、一度も訪れたことのない国の話なのに、郷愁に浸れるのはなぜなんでしょうか。

 

シルクロードへのガイド

 

言う間でもありませんが、このシリーズはシルクロードのあちこちの都市を舞台にしており、話に引き込まれると、実際にその都市を訪問して、ここに描かれている実際の舞台を見て見たくなります

 

全編通して出てくる中国の天山山脈に加え、楼蘭(第1巻「キャラバンの鈴」)、カラホト(第3巻「黒水城の魔女」)、ウィグル(第4巻「ウィグルの砂」)、カシュガル(第4巻「緑の王宮」)、チベット(の地底王国)(第2巻ゾマシリーズ)、ウズベキスタンのサマルカンド(第3巻「青いビビ・ハヌィム」)、ヒワ(第3巻「テイサの記憶」)、ブハラ(第5巻「天と地の神」)、トルコのパムッカレ(「綿の城」)、コンスタンチノープル(第5巻「天より降りて」)などなど。加えて、具体的な場所は明記されていないものの、現在のイランやインドと思われる場面も複数出てきます。

 

例えば、第1巻「キャラバンの鈴」は「楼蘭の美女」をモチーフに描かれており、井上靖の小説「楼蘭」の印象も相まって、実際にウルムチの博物館で実物を見たときの感動と言ったらなかったですし、カシュガルの香妃の墓も、私の中の香妃のイメージはこの作品だったので、墓を見たときは切なくなりました。

 

この作品に出てくる場所は、まだまだ行っていない場所がたくさんあるので、どれも行きたいですね。

 

「シルクロードシリーズ」まとめ

 

神坂智子の「シルクロードシリーズ」いかがでしたでしょうか?

 

この本で私の心に焼き付いたシルクロードのイメージは、前後して見たNHKの番組「シルクロード」とあわせて、私の中では未だに鮮やかです

 

シルクロードの国々には大人になってからあちこち旅行に行きましたが、この漫画を読んだときに受けた衝撃は今なお色あせるところか、一層色濃く蘇ります

 

私の人生に大きな影響を及ぼした漫画でした。

 

なお、この作品も長いことほぼ廃盤扱いで、昔購入したかなり分厚い大判の冊子6冊をずっと捨てられずにいたのですが、2016年に全巻Kindle化していました。

この作品は棺桶に一緒に入れて欲しいくらいのお気に入り作品ですので、Kindle化でいつでも読めるのはホントありがたいです。

 

こういった名作はどんどんKindle化して欲しいです。

 

コメント

  1. れいちゃん より:

    久しぶりにゾマの祭りを読んで神坂智子を検索してここにたどりつきました。そうですか。今はKindle化されているのですか。実家から色の変わったマンガ本持ってきて読んでいました。これからはもっとネット活用して楽しもう。

    • shiroyagi19 より:

      れいちゃんさん、コメントありがとうございます。
      そうなんです。いつの間にかKindle化されてたんです。Amazon上では、逆に紙の本の取り扱いが無いようです。
      電子化されると、過去の名作がいつでも読めて、いつまでも残されるのでうれしいですよね(^^)

タイトルとURLをコピーしました