【3分で分かる名作漫画】夢の碑(木原敏江)

マンガ

今日も24年組です。木原敏江の「夢の碑」を紹介します。

 

24年組って本当に多いですねーと思いますが、今日の紹介で、これでやっと半分ですね。

全員がかなり長いこと活動をされていたので、作品が多く、また、息が長い漫画家だけあって、作品が一定以上のクオリティに達しているため、名作も多い、という世代です。

 

なお、私は世代的には24年組に夢中になった世代には外れているのですが、20歳年上のピアノの先生の家に24年組の漫画が大量にあり、手ほどきを受けたため、詳しくなっています。

 

話が逸れましたが、「夢の碑」を見ていきましょう。

いつもの通り、以下、ネタバレ、各エピソードの結末を含みますのでご注意ください。

 

「夢の碑」作品構成

 

「夢の碑」は、中世ヨーロッパを舞台にした4作を除けば、大部分が時代の違う歴史上の日本を舞台にしているという共通点はあるものの、50ページ程度の短編読み切り物から、新版コミックで3巻とそれなりのボリュームのあるものまで、多岐に亘るボリュームで構成されるオムニバス形式の作品です。

しかも、作品ごとに登場人物は全て異なり、ほぼ各話間のつながりはありません。

 

内容はだいたいが、鬼などが出てきそうな(実際に出てくる作品もある)幻想ロマンで、悲劇が多い構成です。

 

「夢の碑」あらすじ

 

「夢の碑」は上述の通り、オムニバス形式の漫画なので、タイトルが出ている作品だけで14編あり、これを全てあらすじ紹介するのは無理です。

 

今回は、折角Kindle化されたので、Kindle版のタイトルになっている話だけ、出来るだけ作品紹介レベルで簡潔に紹介していきます。

 

「とりかえばや異聞」

ある日、風吹は浮世離れした遊女紫子(ゆかりこ)と出会う。紫子は一見男にしか見えないいでたちと口調だったが、大変な美女だった。心惹かれる風吹だが、紫子は突然姿を消してしまう。

 

しばらくして、風吹は毛利と織田に挟まれた小国佐伯のお家乗っ取りの企みに雇われ、佐伯の家臣として入り込むことになる。そこで出会った城主は紫子そっくりで病弱な美少年碧生(みどりお)で、その妹は紫子だった。紫子は双子の兄碧生を助けるために風吹の前から突然姿を消したのだが、毛利家の姫との婚姻を前に碧生が突然死してしまったため、紫子は碧生の身代わりをし続けなければならなくなってしまう。

 

恋人風吹に姫の夫のふりを頼み、嫉妬に苦しむ紫子だったが、ついに紫子が碧生のふりをしているという噂が広まり、時期を同じくして、毛利と織田が佐伯に攻め込んできた。燃え落ちる城の中で自害を覚悟する紫子だが、風吹が助けに来る。実は、風吹の母親は鬼で、風吹はその力故に孤独に苦しみ、紫子と命運を共にすることを望んでいた。風吹の力で二人は燃え落ちる城から逃げ出し、母の故郷南蛮を目指すのだった。

 

表題作以外に「桜の森の桜の闇」(「夢の碑」最初の作品)、「君を待つ九十九夜」収録。

 

「青頭巾」

謀反人の子扱いされた上、平家の怒りを買って没落した美貌の若君秋篠は、自分に言い寄る平家の姫 照日(てるひ)を利用して、出世し、世を渡って行こうと決める。平家の棟梁平清盛が何でも言うことを聞くのを良いことに、照日は夫のある身でありながら、美貌の秋篠をこれ見よがしにあちこちに連れまわす。一方、秋篠の許嫁 颯子(さつこ)は、秋篠を信じて固く家を守り続けるが、照日への嫉妬が芽生えるのを止められない。同じように照日も颯子の存在に苛立ちを感じていた。そんな二人の想いをはからず、秋篠は一度は撥ねつけた平盛衛も誘惑する。

 

平清盛が亡くなり、家に戻った秋篠は「嘘つきに罰を与える」と言って、庭の桜の木を燃やそうとする。清盛亡き後、元服もしておらず、出世が遅れるであろうことを予測して、秋篠は苛立っていた。

 

秋篠は、照日の夫 元陽に監禁される。照日と颯子は互いが秋篠を隠したと言って罵り合うが、ついに秋篠の居場所を突き止め、二人のどちらを選ぶかを迫る。秋篠の答えは「自分が愛しているのは自分自身」であった。秋篠の答えを深読みし、嫉妬に狂った二人は秋篠を刺す。互いを出し抜こうとする二人の女は、修羅となって秋篠の体を食い尽くし、秋篠は鬼となって彷徨う。

 

「ベルンシュタイン」

18世紀中世ヨーロッパのベルシュタインにはベリシウという男装の姫がいた。姫は美貌だが、自らの剣技を頼みに男を寄せ付けない。医師オルギールはたまたま城に連れて来られ、ベリシウを負かしてしまったために、以降、勝負を持ちかけられて付きまとわれる。一向に相手をしてくれないオルギールに苛立ったベリシウは、オルギールの婚約者ローサを、自分の兄 公爵ユーリスの妾として送り込んでしまう。のこのこと自分のところにやってきたベリシウを、オルギールはユーリスと同じ方法で復讐し、そのまま姿を消す。

 

2年後、ベルシュタインと対立するトルコ軍の一人となってオルギールは戻ってくる。オルギールの一軍はベリシウの夫を殺害するが、ユーリスに捕まってしまう。ベリシウは自分の身を兄ユーリスに投げ出して、オルギールの命乞いをする。実はベリシウが6年前に突然男装を始めたのは、誰よりも尊敬し憧れていた兄ユーリスが、ベリシウを無理矢理自分のものにしたからだった。

 

一方、地下牢に繋がれたオルギールは、ベリシウの小姓から、ベリシウが自分を愛していること、2年前にオルギールとの子供を流産したことを聞かされる。脱出を計るオルギールだが、嫉妬に狂ったユーリスが地下牢に現れ、もみあっているうちにユーリスを殺してしまう。そこにベリシウが現れる。公爵殺しの犯人として最早逃げることもできないオルギールは、ベリシウに愛を告げて去っていく。

 

預言者ヨカナンの首を抱くサロメのように、打ち首にされたオルギールの首を抱いて森を彷徨うようになったベリシウは、魔女として修道院に幽閉される。いつものようにオルギールの首と共に舟遊びに出たベリシウはそのまま湖から帰らなかった。

 

「風恋記」

鎌倉時代初め、坂東武者の気概が東国に満ちていた頃、融明(とおるあき)は鬼の血にめざめた。京の帝に反抗し、兵を起こすが…。

 

「鵺」

時は幕末。刃傷沙汰から故郷を捨てた美貌の若侍・四辻篠夫は腰元の可那枝を連れ、花のお江戸へ逃げ込んだ。そこに現れたのは旗本くずれの素浪人・主理と義賊の盗人・源也。2人と意気投合した篠夫は表稼業の髪結いの裏で、美人局をはたらき荒稼ぎ。だが、活気あふれる都の闇夜に妖魔がひそかに忍び寄る…。

 

「雪紅皇子」

時は南北朝時代。根姫(ねき)は、頭頂部に鬼の角のような突起をもち、相手の胸に触れるとその人の考えていることが分かってしまう能力を持つ。旅の途中で知り合った親切な僧侶 芦生の遺言に従い、南朝の帝の弟 映宮(はゆるのみや)に仕えることになった。

 

南朝は100年前の北朝との分裂以来、隠れ里で再興だけを祈願して、その機を待っていたが、聡明な帝は北朝との力の差と時代の流れを悟り、もはや南朝の再興がないことを分かっていた。映宮もそんな帝の想いは理解していたが、それでも再興を目指す里の民の心を慮った帝の気持ちを尊重し、身分低い母を持つ自分を誰より労わってくれる帝のために、自らを捧げるつもりでいた。

 

しかし、北朝の勢力は容赦なく南朝を追い詰め、帝に仕える者と通じ、帝を人質に、映宮が隠した神璽を要求してきた。最愛の兄を人質にとられた映宮は神璽を持参するが、北朝が要求したのは神璽と二皇子の首だった。二人の首は隠されるが、裏切り者を追った根姫は重症を負わされながら、映宮との約束を守り、鬼の力で二人の首を見つけ出し、息絶える。

 

「渕となりぬ」

室町時代、丹波の猿楽三枝一座に羽角という若者がいた。能楽で天下を取る夢を抱いた羽角は三枝座を率い、念願の京興行へ旅立った。羽角は乙輪の舞の芸術性を理解するがゆえに白楊座への移籍を決意する。悲しみを忘れるため舞に打ち込む乙輪。一方、乙輪への深い恋の渕に落ちていたことに気いた羽角は…!?

 

「大江山花伝」

大江山に酒呑童子という鬼がいた。都を荒らし、姫をさらい、悪事のかぎりを尽くしたそうな。 さて、宮中より鬼退治を命じられたのは音に聞こえた勇将・渡辺綱。だが、勇躍して鬼の岩屋にのりこんだ綱が目にしたものは…。

 

「夢の碑」みどころ

大号泣したいとき用の作品

 

「夢の碑」シリーズは「とりかえばや異聞」などの一部を除けば、基本のストーリーは全て悲劇で、もはや、大号泣したいとき用の作品として描かれたとしか思えない、大号泣要素が詰まっています。

 

特に、「鵺」「渕となりぬ」辺りは、どちらも絶望的なまでに愛情に飢えた美青年が登場する話で、破滅と引き換えに何よりも欲しかったものを手にします。この「破滅と引き換えに何よりも欲しかったものを手にする」という構造は「ベルシュタイン」「封印雅歌」「雪紅皇子」にも見られ、こういった、悲劇の中に少しだけ織り交ぜられた救いの余韻がまた涙を誘うエッセンスとなります。

 

今回の記事を書くにあたって、全編読み返しましたが、もうティッシュの減りが激しくて、、、泣き過ぎて頭が痛いです。

 

華のある絵柄

 

かなり古くから活躍されている漫画家さんでもあるので、木原敏江の絵は、今見るとさすがに古いですが、その点を除けば、耽美な絵柄で華があり、本作のような、滅びの美を描くのに相応しい絵と言えます。

 

美青年が多く出てきますが、清楚に見えて色気があるという、なかなか両立できない特徴を見事に両立して描く漫画家さんでもあります。

 

なお、「夢の碑」シリーズの他、「アンジェリク」などの作品が宝塚歌劇団で舞台化されていますが、この華やかさ・耽美さはまさに宝塚向きと言えるでしょう。

最初に採用した人、素晴らしいと思います。

 

「夢の碑」まとめ

 

木原敏江の「夢の碑」いかがでしたでしょうか?

 

同じ作者の「摩利と新吾」を代表作として挙げる人も多いと思いますが、個人的な好みとして「夢の碑」の方が上だったので、こちらについて書かせて頂きました。

 

余談ですが、私はこの「夢の碑」がKindle化されるのをずっと待っていたのですが、なんと2018/3/2に全巻一気に発売されており、見つけた瞬間叫び、うれしさのあまり「夢の碑」全巻に留まらず、同じタイミングでKindle化されてた他の作品も含めてかなりの冊数をポチってしまいました。

心を豊かに、財布を貧しくしてくれる作品です。

 

それはともかく、この一気Kindle化の大英断には感謝です。

この勢いで他の漫画家さんの過去の名作もやって欲しい。。。!

 

なお、作者は青池保子と同じ1948年生まれの70歳。現在も「白妖の娘」を連載中です。

まだまだ次回作で何が出るのか、楽しみな作家さんです!

 

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